最強最愛彼氏。
御堂 千歳(チトセ)。
彼は始めにそう名乗った。
さっきの理事長の話とは比べ物にならない程、その場にいる全員が彼の話に聞き入っている。
「御堂さん、お父様の会社の跡を継ぐみたいなんですってね」
「ええ。さすがよねー。
将来有望なのよね。羨ましいわ…」
前に座っていた女の子達が彼について話している。
(そんなに凄い人なんだ…。まぁ、この学校で生徒会長やってるって事は
凄いことなんだろうけど)
そう思いながら彼を見る。
遠くてあまり良く見えないが、見た目は生徒会長らしくない。
明るい茶色の髪をワックスか何かで固めているのが分かる。
少し長めの襟足が外側に跳ねていて
まさに今時の若者っていう感じで。
まぁ、私には関係のない話だ。
どうせこの先、彼に会うことなんて
絶対にないんだから。