俺様彼氏と空手彼女2
「ごめんなさい、瑞代さん…!私、私も葵が好きだから…だから…」
「…ホントに、先輩みたいにはなれませんね」
「え…」
私の言葉に、瑞代さんは困ったように笑った。
「みず…っ」
「璃依、もういい。やめておけ。行くぞ」
葵は、さらに言葉を繋げようとした私の手をグイグイ引っ張って生徒会室を出た。
まるで、私の言葉を遮るかのように。
生徒会室を出たあと、かすかに啜り泣く声が聞こえたのは気のせいじゃないと思う。
そして放課後。外ではすでに部活動を始めた生徒たちがちらほらと見え始めていた。
なのに、葵は一向に現れない。
やっぱり、忙しいのかなぁ。
葵や役員の人たちに迷惑かかるし、やっぱり帰っ…
「なーにしてんだよ」
「っ!」
突然聞こえた声に驚き、慌てて振り向く。
そこには、カバンを背負った葵がいて。
いつもみたいに優しく笑って、たたずんでいた。