俺様彼氏と空手彼女2
「あぁ、ありがとうお嬢さん。助かったわ」
ようやく追い付いたらしいお婆さんは、肩で息をしながら言う。
「いえいえ。これくらい軽いですよ」
私は、スクバを背負い直してお婆さんに微笑む。
「今、警察に連絡したんで。もうすぐ来ると思います」
「警察?!余計なことするなガキが!」
見れば、さっきの男が立ち上がって私を睨みつけている。
その手には、ナイフ。
冷たくギラギラと光っている。
そして男の目も血走り、理性が飛んでしまっている。
「何、やる気?」
「ぶっ殺してやる」
「ひぃぃぃぃぃ!」
後ろで、お婆さんが悲鳴をあげた。
ナイフだもん。怖いよね。
「下がって。危険ですから」
「お、お嬢さん…。あなたは…」
「私は平気です。強いから」
にこっ、とお婆さんに笑ってみせる。
心配そうにしつつ、数歩下がるお婆さん。
そしてすぐ、
「誰か!誰か来ておくれ!助けて!」
助けを呼ぶことに徹することにしたようだ。
必死に叫んでくれている。