俺様彼氏と空手彼女2
「はっ!っセイ!!」
いつも通り、掛け声とともに空手技を繰り出した。
まずは腕。
ナイフを蹴り上げ、武器を奪う。
その一瞬後、がら空きのボディに二発の突き。
上手いことみぞおちに入り、男は二、三歩後ずさる。
「はぁああっ!!」
最後に、脇腹に回し蹴りをお見舞いしてやった所で気が落ちたらしい。
男はそのまま倒れこんだ。
「…ふぅぅ。」
深く息を吐き出し、張り詰めていた緊張の糸を緩めたところで、周りから拍手が起こった。
「えっえっ?」
「すごいよ君。お手柄だ」
「あ、いえそんな…。」
さっきのお巡りさんが来て、男を起こしながら言う。
男の方は、がっくりうなだれてはいるが、すぐに気付きそうだ。
「いろいろ詳しい話、聞きたいから待っててもらえるかい」
「あ、はい…」
特に急ぎのようもないし、いいか別に。
っていうか、またやってしまった。
あいつに怒られそうだなぁ…。
そんなことを思いつつ、私は春の蒼い空を見上げた。