俺様彼氏と空手彼女2



「はっ!っセイ!!」


いつも通り、掛け声とともに空手技を繰り出した。



まずは腕。

ナイフを蹴り上げ、武器を奪う。


その一瞬後、がら空きのボディに二発の突き。


上手いことみぞおちに入り、男は二、三歩後ずさる。



「はぁああっ!!」



最後に、脇腹に回し蹴りをお見舞いしてやった所で気が落ちたらしい。



男はそのまま倒れこんだ。



「…ふぅぅ。」



深く息を吐き出し、張り詰めていた緊張の糸を緩めたところで、周りから拍手が起こった。



「えっえっ?」



「すごいよ君。お手柄だ」


「あ、いえそんな…。」



さっきのお巡りさんが来て、男を起こしながら言う。


男の方は、がっくりうなだれてはいるが、すぐに気付きそうだ。



「いろいろ詳しい話、聞きたいから待っててもらえるかい」


「あ、はい…」



特に急ぎのようもないし、いいか別に。



っていうか、またやってしまった。


あいつに怒られそうだなぁ…。





そんなことを思いつつ、私は春の蒼い空を見上げた。













< 5 / 109 >

この作品をシェア

pagetop