俺様彼氏と空手彼女2
にっこり笑いながら言ったのは、例のワードだった。
「みっ、見たんだ…」
「当然だろ?すげぇよなぁ、お手柄お手柄。」
棒読みで言われると、余計恐い。
素直に、謝るしかない…。
「ごめんなさい…」
「本当に反省してんのか?」
「はい、一応…」
「一応?」
ぴくっと葵の片眉が上がり、私は慌てて訂正する。
「反省してますっ」
「よし」
その瞬間、今までの鬼神のような黒いオーラは影を潜め。
代わりに、その整った顔に柔らかい微笑みを浮かべた。
思わず、ドキッと胸が高鳴った。
「もう、約束破るなよ」
「うん…」
そして、恥ずかしくて俯いた私の頭には。
ぽんっ、て乗せられた優しい手。
葵は、いつもこうやって私をドキドキさせる。
ふとした瞬間に、とても優しい顔をしたり。
油断した途端にギュッってされたり、など…。
初対面の印象からかけ離れている。
最初は、クールで一匹狼なイメージがあった。
だけど今は。