陰陽(教)師
言いながら矢尾は教壇に立った。

「先月退職された鈴木先生に代わって、新しくこのクラスの副担任になった…」

そこまで言って矢尾は言葉を切った。

「折角だから自己紹介してもらいましょうか」

そう促されて、男は矢尾と入れ替わり、教壇に立った。

クラスの生徒達の視線が男に集中する。

その視線の幾つかに熱いものがあったのは、男の容姿のせいか。

熱い視線の主はすべて女生徒であった。

「はじめまして」

男は生徒達を見渡すと、体を反転させて、黒板へと向かった。

「先生の名前は…」

男はチョークを手に取り、それを黒板へと走らせた。

「これが先生の名前だ」

黒板には、大きく丁寧な字で【安倍晴明】と書いてあった。

「あべのせいめい?」

生徒達の中から声があがった。

声の主はひとりの女生徒だった。

髪はほぼ金髪。

目鼻立ちは欧米系のそれで、一目で異国の血が入っているとわかる。

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