陰陽(教)師
同時に、紙の力士は元の小さな型紙に戻り、地に落ちた。

「ちょっと何してんのよ要!?」

「気ィ狂ったのかよ、オメーは!?」

鈴子と嵩史が同時に叫んだ。

明菜と善吉も目を丸くしている。

「どういうつもりだ、要?」

ただ晴明だけが冷静な声で言った。

「すいません、先生」

大吾は頭を下げた。

「ですがここは自分に任せて下さい」

「お前が川太郎の相手をするというのか?」

「そうです」

大吾は河童除けの短冊を取り出すと、地面へと放った。

「お前らのケアをするのは俺の仕事だと言ったはずだが」

「わかっています」

ですが、と大吾は言葉を続ける。

「三池はあんな奴ですが同じ妖怪仲間です」

「『あんな奴』は余計だっつーの」

嵩史は言葉を尖らせた。

「仲間の危機は放ってはおけないか」

晴明は笑みを浮かべた。

「いえ、それだけではありません」

大吾は首を振った。

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