陰陽(教)師
ちらりと、川太郎に視線をやる。

「木下や三池の話を聞く限り、先生はかなりの力を持った陰陽師です。その気になれば川太郎から力ずくで尻子玉を奪うこともできるでしょう」

「おい貴様、俺をなめてるのか?」

大吾の言葉に、川太郎はいきり立った。

「この俺が陰陽師ふぜいに…」

川太郎の台詞はそこで止まった。

晴明の視線が、川太郎を捕らえていた。

川太郎は一瞬、暗闇の底に突き落とされたような感覚に陥った。

「き、貴様…俺に何を…?」

「それが先生の実力だ」

大吾は川太郎の問いを切って捨てた。

「…要って、あたしたちよりだいぶ年上だよね」

鈴子は腕の中の嵩史にだけ聞こえる声で言った。

「人間としてはタメだけどな」

「でも年を取ってる分、物の本質を見る目は肥えてるよね?」

「…先生はオレらが思ってるよりもスゴ腕の陰陽師かもな」

嵩史の言葉に、鈴子は黙ってうなずいた。

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