陰陽(教)師
「先生の式神より、自分の方が力は上だと思います」

岩石人間、いや大吾は、存在しない口から声を発した。

ゴツゴツとした、文字通り岩石の体は、晴明の式神より、圧倒的な迫力を放っている。

「お前の言いたいことはよくわかった」

晴明は大吾の側へ歩み寄った。

「確かに、俺の式神より要の方が強そうだな」

晴明は何かをつまみ、拾いあげた。

それは河童除けの短冊と人形の型紙であった。

「そういう事なんだが、どうだ?」

晴明は川太郎を見た。

「次から次へと、おかしな奴らが出てきやがる」

川太郎は両手で胸板を叩いた。

「もう誰が相手だろうと構わん。とっととかかってきやがれ」

そう言うと、川太郎は再び体勢を低くした。

大吾も腰を落とし、互いに仕切りの体勢を取る。

晴明は大吾と川太郎のもとから離れた。

数秒かけて、両者は地面に両拳をつけた。

立ち上がったのは同時だったが、先手を取ったのは、小柄な川太郎の方だった。

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