陰陽(教)師
のぞき込んだ鈴子が首をかしげた。

晴明は先ほど使用した力士の型紙を、別の形に折っていた。

腕の部分を背中の方へ折り込み、頭を尖らせる。

足は細く折り直した。

「先生、何してるの?」

鈴子が訊くと晴明は

「使いを頼もうと思ってな」

と、手を動かしながら答えた。

「使い?」

「よし」

晴明は作業を終えると、型紙を左の掌へ乗せた。

目を閉じ、右手で再び印を結ぶ。

「御(オン)」

そう唱えると同時に、型紙は白い小鳥へと姿を変えた。

小鳥は掌から飛び立つと、瞬く間に虚空へと姿を消した。

「はー…スゲ…まるで手品みてーだな」

小鳥を見送りながら嵩史はつぶやいた。

「もっとよく見てみたかったかな」

「食べたかったの?」

「誰が食うかっ!」

鈴子の的外れな言葉に対し、嵩史は歯を剥いた。

「何やってるのよ」

そんな2人に、明菜は冷たい視線を向ける。

「特に三池君。要君は誰のために戦ってると思ってるの?」

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