陰陽(教)師
第3話 梅雨の夜の夢【P162~P204】
「木下さんは今日も休みなのよね」

朝のHR。

1-C担任のである八尾は首をかしげた。

「木下さんの元気な返事を聞けないと嫌ねぇ…」

いつもふくふくと笑っている印象が強い八尾だが、それ故に心配している様子がうかがえる。

「五島さん」

「はい」

名を呼ばれ、委員長の明菜は小さく手をあげた。

「悪いけど、放課後プリント届けに行ってくれないかしら」

「わかりました」



―――――――――


「んで、なんでオレらまで一緒に行かなきゃならねーんだ」

嵩史はあからさまに不満の声をあげた。

「仲間でしょ」

先をゆく明菜が振り返りながら言う。

「こういう時こそ、助け合いが必要なのよ」

きっぱりとした口調は、嵩史に反論を許さなかった。

明菜は、自分たちが妖怪というマイノリティーに属していることを、4人の中で一番意識している。

そのせいか、仲間同士のつながりの大切さを、よく口にする。

< 162 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop