陰陽(教)師
その跳躍は天井をかすめるほどの高さであった。

にもかかわらず、着地点の教壇には音も立てず、ふわりと乗った。

「オレはな、陰陽師とか拝み屋といった連中が嫌いなんだよ」

嵩史の目は、異形の者と化していた。

三白眼の目には、針のような瞳が浮かび、耳の近くまで裂けた口からは、鋭い牙がのぞいている。

まさに猫を思わせる顔だった。

嵩史は晴明のネクタイをつかみ、締めあげんとしていた。

「三池!」

「三池君!」

金髪少女と委員長が同時に叫んだ。

「うるせぇな」

嵩史は二人に一瞥くれると、晴明に向き直った。

「あんたが陰陽師だろうと何だろうと知ったこっちゃねぇが…」

嵩史は晴明のネクタイを軽く引いた。

「オレにつまらねぇチョッカイかけたら、タダじゃおかねぇぜ?」

猫の顔のまま、嵩史は凄んだ。

口からのぞく牙が、鈍く光った。

「どうも勘違いしてるようだな」

晴明は口に小さな笑みを浮かべながら言った。

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