陰陽(教)師
「俺は確かに陰陽師だ。しかしそれ以前に、お前の副担任で、教師だ」

「生徒には手ェ出さないってか?」

嵩史はネクタイを握る手に力をこめると、ぐっと顔を近づけた。

「ならこの状況をどうするつもりだよ、先生?」

嵩史はニヤリと笑った。

「こうするさ」

晴明は嵩史の鼻先に右手をかざした。

その瞬間、嵩史が小さな叫び声をあげて教壇から飛び退いた。

そして自分の机に着地しようしたが、足を踏み外し、そのまま床へと転がり落ちた。

「三池君!?」

委員長が目を丸くした。

「て、てめぇ!」

嵩史は鼻を押さえながら立ち上がった。

顔は元に戻っていた。

「ミカン食いやがったな!」

「さっき職員室でな」

猫は柑橘系の果物の匂いを嫌う。

猫又の嵩史が鼻を押さえるのも無理はない。

意外と言えば意外な対応に、委員長も金髪少女も、呆気にとられた顔をしていた。

「お、陰陽師ならそれなりのやり方があるだろうが!」

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