陰陽(教)師
「使えるものは何でも使うさ」

「ちっ…」

飄々とした晴明の物言いに毒気を抜かれたか、嵩史は舌打ちしながらも、おとなしく席へ戻った。

晴明は再びファイルを手に取り、開くと

「次は五島明菜」

委員長に呼び掛けた。

「私は五徳猫です」

明菜は手をあげ、自分からそう切り出した。

五徳猫とは猫又と同じ猫の妖怪であるが、江戸時代に描かれた画集【百器徒然袋】によると、その容姿は多少異なる。

ちなみに【百器徒然袋】とは、鳥山石燕という画家が様々な妖怪を描いた画集。

現代風の言い方をすれば、妖怪大百科といえばわかりやすいだろうか。

鳥山石燕の妖怪画集は他にも【画図百鬼夜行】【続百鬼】【百鬼拾遺】と全四部からなる。

古今東西、様々な妖怪が描かれている。

だが、鳥山石燕が如何にして妖怪を視る力を身につけたのかは、永遠の謎である。

話を戻そう。

その画集に描かれている五徳猫は、尾がわかれているところまでは猫又と同じだ。

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