陰陽(教)師
晴明は手を振って会話の流れを切った。

「五島の先祖が結婚した妖怪が五徳猫だったってわけだな」

「そうです」

「で、先祖返りで、お前が五徳猫として生まれたということか」

「はい」

「冷静だな」

「両親と祖父母は確かに人間ですが、曾祖母は私と同じ、先祖返りだったそうです」

「身内の心構えはできていたわけか」

「家族には感謝しています。おかげで、ありのままの自分を受け入れることができましたから」

明菜は凜とした表情で言った。

「それは大事だな」

言った後、晴明はこう続けた。

「人間だって自分を受け入れられない奴はいる。病気や性別の不一致、学歴や容姿のコンプレックス。平凡な自分が嫌いだって奴もいるだろう」

晴明の口調と表情は真剣なものに変わっていた。

嵩史とやり合っていた時とは、別人のようであった。

「でも五島は妖怪である自分を受け入れた。それは大事なことだ」

晴明は明菜から全く目をそらさなかった。

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