陰陽(教)師
断末魔の苦悶の叫び声が部屋中に響き渡る。
嵩史は耳をふさぎ、鈴子は晴明の背中にしがみついた。
しばらくして鈴子が顔をあげると、巨人のいた空間には、もう何も無かった。
ただ数十枚、いや数百枚の畳が吹き飛んでいただけだった。
「すごい…」
鈴子は晴明のスーツを握りしめたまま、呆然となった。
「まだ終わってない」
晴明は携帯を再び高く掲げた。
「ノウバク ハルナバリ ソワカ!」
次の瞬間、画面の葉衣観音が白く光り輝き、その輝きは部屋中に満ちた。
嵩史と鈴子はその光のまばゆさに目を閉じた。
「もう大丈夫だ」
晴明の言葉に二人が目を開けると、部屋は元の八畳の和室に戻っていた。
「ん?」
嵩史は足もとに目をとめた。
そこの畳が一枚だけ、めくれあがっていた。
「現実と幻覚の狭間にいたようだな」
晴明がつぶやいた。
「妖気が消えたぜ」
嵩史のヒゲは動かなかった。
「出よう」
晴明の言葉に、二人はうなずいた。
嵩史は耳をふさぎ、鈴子は晴明の背中にしがみついた。
しばらくして鈴子が顔をあげると、巨人のいた空間には、もう何も無かった。
ただ数十枚、いや数百枚の畳が吹き飛んでいただけだった。
「すごい…」
鈴子は晴明のスーツを握りしめたまま、呆然となった。
「まだ終わってない」
晴明は携帯を再び高く掲げた。
「ノウバク ハルナバリ ソワカ!」
次の瞬間、画面の葉衣観音が白く光り輝き、その輝きは部屋中に満ちた。
嵩史と鈴子はその光のまばゆさに目を閉じた。
「もう大丈夫だ」
晴明の言葉に二人が目を開けると、部屋は元の八畳の和室に戻っていた。
「ん?」
嵩史は足もとに目をとめた。
そこの畳が一枚だけ、めくれあがっていた。
「現実と幻覚の狭間にいたようだな」
晴明がつぶやいた。
「妖気が消えたぜ」
嵩史のヒゲは動かなかった。
「出よう」
晴明の言葉に、二人はうなずいた。