わたしの恋人
第1章
子供の頃の思い出
太陽が眩しい。
まだ初夏だというのに真夏の様に暑い。
幼稚園の私には、初夏と真夏の違いが分からないから
ただ暑いとしか思っていなかった。
今はプールの時間。
身長が低い私達は先生に手を貸してもらいながら泳いでる。
「先せーい!わたしにも手貸して〜!」
「はいはい、でもあいこちゃんは泳げるでしょ?」
「むぅ〜……じゃぁいいもん!わたし泳がない!!」
当時の私はまだ5歳。
わがままだった。
「分かったから、泳ぐよ?」
いつも先生はわたしのわがままを聞いてくれた。
まぁ5歳だしね。
「先生、泳げない。」
わたしが泳ごうとしたらか弱そうな男の子が来た。
柳沼力希。
いつも無口であまり笑わない、静かな子。
黒くちょっとくせがある長い髪は、太陽で光っていた。
私はこの子が少し気になっていた。
顔は女の子みたいに綺麗。
でも、格好良かった。
「あら、じゃあ3人で泳ごっか!あいこちゃん、いいよね?」
「うん!いいよ!」
私達は一緒に泳ぐ事になった。
_