【短編】大好きだった
「私のこと嫌い?」
その日も、
その言葉を投げ掛けた。
その言葉に
彼はもう何も答えなかった。
ただ一言、
「別れよう」
とだけ。
涙を流しても、以前のように拭ってはくれなくて、近くにあるティッシュを私に手渡すだけだった。
「ごめん」と呟きながら、ちらりと彼の表情を伺う。
最後に見た彼の目は冷たくて、私はまた涙を流した。
ひとつ、首を縦に振ると、私たちの関係は呆気なく終わった。