【短編】大好きだった
2年生になってからは彼を探すことも無くなって、彼に会うのは本当に久々だった。
久しぶりに見る彼は以前より大人びていて、彼と私の離れていた時間の長さを思い知らされた。
「…久しぶり」
彼は小さく呟いた。
私もそれに応えた。
1年ぶりに見る彼の瞳には、最後に見た時の冷たさは消えていて、少し安心した。
不思議と、胸の苦しみはなかった。
失恋したての頃を思い出す。
あの頃は遠くから見えた彼の姿を見るだけで、胸が痛くなっていた。
そんなことを考えると、時間の流れを感じずにはいられなかった。
それから彼と話しながら帰った。高校生の頃に戻ったようだった。
「…あのさ、」
会話が途絶えてしばらく経った時、彼は立ち止まっておもむろに話し始めた。
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──…‥