【短編】大好きだった

彼と別れてから、私は彼の言葉を反芻していた。









『あの頃は恥ずかしくて言えなかったけど、』





『ちゃんと好きだったよ』







『不安にさせててごめんな』







そう言って、彼は私の頭に手を乗せた。


ゆっくりと彼を見上げると、申し訳なさそうに笑う彼と目が合った。







そしてもう一度、


『ごめん』

と呟いた。







しばらく流していなかった涙とともに、私のなかの何かが一緒に流れ落ちた気がした。





< 15 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop