ぱすてる
うるわしきひと
*うるわしきひと*


それからというもの、

藍音はあの日のことばかり考えていた。

あの真っ暗の中、ずっと泣き止まずに居たあたしを引っ張ってくれた。

あの温かみ、今でも手に残ってる‥。

ずっと泣いてたから孝治くん、恥ずかしかっただろうなあ−‥。

なのに手を離すことはなかった。








「それって、好きって言ってるようなもんじゃない?」

昨日の話を聞かせた後すぐに晴香が言ってきた。

あたしは右斜め前にある教室の花瓶をずっと見つめてた。

花瓶の模様は夕焼けのように真っ赤でそれとなく青みがかっている。

それを見てあの時を思い出し、

一人下を向き赤くなっていた‥。









これからこの状況をどう動かすのか、

あたしに考えるのは難し過ぎた。
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