ぱすてる
屋上の隅。

あたしの隠れスポット。

お弁当を広げ、あたしだけの時間。

どうして一人かというと。

晴香には彼氏がいて、

だからあたしは一人ぼっちってわけ。

全然悲しくはないよっ。

いつもこの空を見ながらのご飯が好き。

空を見るのは好きだけど

でもやっぱり空を見て幸せなん・・・

ん?

あたしに掛かる黒い大きな影。

「幸せだなあ-っ!」

後ろを向くと、にかっと笑った男の子が

こっちを見てそう言った。

そよそよとなびく髪が太陽の光で光って見えた。

「またあんたかあっ・・。」

あたしは、はあ-っとため息をつくと

またお弁当を食べ始めた。

「またってなんだょ?」





しゃがみこんだそいつはいつものように

あたしの隣でランチタイム。

そしてトークタイム。



「空ってさ-!やっぱいいな!」

大きく背伸びした。

あたしは一瞬、彼にキュンとした。

空を見つめる彼の瞳がとても綺麗だったから。

ひと呼吸おいてから

あたしは口を開いた。

「でも・・。空ってただ同じだけじゃないの?」

あたしは聞き返す。

すると彼はくしゃっと笑って答えた。

「同じじゃねぇよっ!毎日毎日表情が違うんだぜ?」

「表情・・・?」

「そっ!まず雪だろ?それに朝日に夕焼け、入道雲に積乱雲!」

彼はいっぱい話してくれた。

あたしが知らないことをたくさん。

最初は唖然と聞いていたが

合間に質問をしたりして

彼との会話を楽しんだ。

彼は精一杯話してくれる。

空を見て幸せだって思うこと、

少しだけ分かったような気がしたよ。

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