ぱすてる
あたしとあいつが会ったのは

入学式の次の日くらい‥?



「はあ−。

ずっと笑ってんの疲れる‥。」

屋上でつい本音が出た。

精一杯の独り言。

空は永遠に青い。

人の苦労を何も知らない。

ただ広く大きく見ているだけ。




「笑わなければいんじゃね?」

後ろで声がした‥。

やば‥‥。聞かれた。

なるべく関わらないようにスルーしよう!

そう思って、なあに?とくるっと振り向いた。




なんだろう‥。この感じ‥。

ふわっとした。

こいつを見たとたん。ふわっと。

風のせいかもしれない。

あたしをにっこり笑って見てる人がいる。

誰だろう‥?

見たことないな‥てか同じ一年?

昨日が入学式だったんだから覚えてるはずないよ。



「なんか言えょ。」

今度はむっとした顔になった。
あたしを見つめてる‥?

「‥‥な‥‥。」

「ん?」

「な‥んにも言ってないし!なんに‥も!なんにも‥言ってないから!」

声が震えた。

こんな答えかたじゃ

なんにも言ったって

言ってるようなもんじゃない!

あたしはそう言うと

その場から逃げ出すように走り帰った。
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