ぱすてる

そんなことがあってから

あいつは毎日のように現れる。


−タッタッタッ
ガチャッ

「あ−。やっぱ雨降ってる−。」

しょうがない。今日は教室で食べるかっ!

ドアを閉めようとした時、

屋上の隅に青い傘が見えた。

「えっ!!ちょっと−!今日は雨ですけど−」

少しだけ声を大きくしたが届かない。

「ね−。屋上く−んっ!」

なに?屋上くんて‥。

しょうがないっ!

あたしは隅の傘に向かって走りだした。

すごい雨っ!冷た−い。

−ぴしゃぴしゃっ

走って行って傘の中を覗き込んだ。

「ね−。今日は雨ですけど?」


傘の中にはやっぱりあいつが居た。

「知ってますけど?」

屋上くんは立ち上がると傘にあたしを入れてくれた。

「そんなに空が好きなんだあ−?」

あたしはちょっとからかったように言った。

「いや‥‥。」
ザ−−−−‥‥。

屋上くんの言葉は雨に掻き消された。



「ん−?なに?聞こえない。」

もう一度聞いた。
屋上くんは少し大きめに言った。


「空を見てると

オレは生きてるんだなって感じる。」




あたしはその意味がよく分からなかった。

その時はただ好きなんだな−って

自分で納得してた。

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