ぱすてる
「‥‥いねっ!‥‥藍音っ!!」




はっと気付いた、晴香の声。

授業聞いてなかった。

いつの間にか

もう全部の授業は終わり、

辺りは橙色に広がっていた。



「晴香‥。ごめん、あたしぼ−っとしてた。」

少し頭をかきながらあたしは答えた。

「どしたの−?らしくないじゃんっ?」

晴香は、にっとあたしのほっぺをつねって

彼氏と帰るねと言い残し、

足音は消えて言った。




晴香の足音の余韻が

あたしの頭の中でこだまする‥。

オレンジ色の光の中で

あたしは忘れかけていた心の一部を

思い出す。

それはとても辛くて

でも嫌じゃない心の痛み。

切なくて時々締め付ける。

甘い甘いとろけそうな記憶。

それは恋する気持ち。








−ガタッ!

静かな物音にくるっと後ろを見た。

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