年下君の甘い誘惑



……………よし。



龍の電話が終わったら、最初から全部話そう



龍を裏切ってしまったこと、デートしたこと、キスされたこと、坂石雅人を好きなこと



きっと龍をすごく傷つけてしまう



もう一生あたしと話してくれないかもしれないし、逢うこともできなくなるかもしれない



それくらいの覚悟はできてる





そう思ってたのに……





「は?紅林が?」





"紅林"の名前が出てきた瞬間、あたしの頭は一瞬で真っ白になった



…………今?紅林って言った?





「んで、今は?ああ、あそこの病院か。」




なんで紅林の話が龍に?病院?なに?




「ああ、分かった。すぐ行く。」




なに?すぐ行くって…




龍は電話を切るなり、そそくさと荷物をまとめ、脱いでたブレザーを着た




「ちょ…龍、どしたの?」



「わりぃ、ちょっと行かなきゃいけないとこ出来た!」



「え………ちょ、待って。」




そう言って、龍はベンチから立ち上がると公園を出ていってしまった




……………どうゆうこと?
なんで紅林の名前が出てくんの?
そんな急いで、どこ行ったの?




聞きたいことが沢山あったけど、あたしは何も言えないくて



龍の走っていく後ろ姿を、見えなくなるまで見続けていた





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