生きた証 SILENT VOICE
『どうして普通に卒業出来なかったの?暴力とか?』

『・・・』

俺は何も言わない

知られたくなんかない

よくも知らない奴に干渉されたくなんかない

『シカトなのね。本当に陰な人』

彼女はフフッと微かに笑った

その笑顔と笑い声が

異様な不気味さを醸し出している

『あなたは知らないでしょうね。私も19よ』

『何だって・・・』

ハッとした

このクラスに同い年がいたなんて思いもしなかったから

『鬱病って知ってるよね。それで学校行ってなかったの』

延髄に電気が走った

同じ境遇の人間

恐れていた

マイナスとマイナスが出会う事を

頭の中は真っ白になってしまった

フフッとまた彼女が笑う

髪を耳に掛ける仕草がとても印象的だった
< 10 / 23 >

この作品をシェア

pagetop