生きた証 SILENT VOICE
全て見られていたのか

気付きもしなかった

『授業をサボって、貯水タンクがある所で寝転がってた』

『そうだったのか』

彼女は知っていたからこそ

話してくれたのか

『私達、お互い頑張らなきゃ』

彼女は涙を拭って

飛び切りの笑顔を見せた

俺はずっと苦しんでばかりで

閉じこもってた

だけど

彼女は違う

苦しいのにこんなに笑ってる

そして

苦しみから抜け出そうとしてる

果たして俺にそれが出来るだろうか

彼女のように強くなれるだろうか

その時

『もう校舎閉めるから、早く出なさい』

廊下から見回りの先生の声が教室に入ってきた

『もう出なきゃね』

そう言うと

彼女は鞄を持った
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