生きた証 SILENT VOICE
この宝石・・・

それは明らかに俺が拾って男の子にあげた宝石だった

『これ・・・』

俺は宝石に向かって指を指した

『?』

彼女は俺の顔を見て不思議な表情を見せた

『君には、弟がいる?』

昨日の男の子は彼女の弟の可能性が高い

彼女は不思議そうにゆっくりと頷いた

無理もない

話した事も無い男が急に家族構成を当てたのだ

『昨日これを水道で見つけたんだ』

彼女は携帯を開いたまま俺の顔に釘付けだ

目を見開いた表情はどこか小動物を思わせる

『拾った時は誰の物かも分からなかった。でも、電車で君の弟が気付いてくれたんだ』

彼女は何も言わない

何かを伝えようとしているのだが

言葉に出て来ないようだ

それが何故だかは検討もつかない

彼女は小さなメモにシャーペンで何かを書いて

俺に見せた


ありがとう


可愛い字でそれだけ書いてあった
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