生きた証 SILENT VOICE
『呼ぶまでここで待ってなさい』

先生が先に教室に入り

俺の事を説明している

とりあえず深呼吸

もうあの時の自分じゃない

被害妄想ばかりして

臆病になっていた

あの頃の自分じゃ・・・

『じゃあ入って』

教室に入ると

知らない奴らが俺の方を見ている

緊張はピークを越えていた

『名前は・・・藤崎悠です』

それだけしか言葉は出てこなかった

まるで緊張の大安売りだ

頭が痛くなってきた

『あの後ろの席に座って』

俯いたまま言われた席についた

誰も話しかけては来ない

それはそうかもしれない

考えてみれば

このクラスに俺と同い年はいないのだ

隣の席を見ると

綺麗な長い髪をした

潤んだ瞳の女の子がこっちを見ていた
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