生きた証 SILENT VOICE
『な、何?』

思わず声を出していた

しかし

彼女は何も言わず

ただニコッと笑うだけ

ドキッとした俺は

机に突っ伏した

こんな風に見られた事が無かったから

どうしていいかわからなかった

その日の昼

購買でヤキソバパンを買って

屋上で食べる事にした

階段を一段一段上る音が

妙に響き

上に行くにしたがって

暗闇は増していった

ドアを開け放つと

暗闇で大きくなった瞳が一気に収縮して

眩しさを何倍にもした

太陽の光は腕まくりをした長い腕を突き刺す

屋上は教室よりも風が強い

買ったヤキソバパンを口に頬張り

空を眺めた

雲の流れは速い気がした
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