狐に嫁入り!?
ついていけない光景に呆然と立ちつくしているとウタクが私を呼んだ。
「実雨、お前も一杯飲んだらどうだ?」
「飲めるわけないでしょ。未成年なんだから」
「こっちの世界に未成年という縛りはない」
「そうは言っても……飲めないよ!」
「なら漬物でももらえ。普段、何も食べてないだろう」
「いくら貧乏でも何かしら食べてるわよ!」
そう言いつつもお漬物をもらおうと足を進めると、ウタクを取り囲んだ善狐達が一斉に私を見てきた。
「お……おい!今気付いたけど……この子……!」
「この、ウタク様への態度……!」
……こ、恐い。
何十といる善狐から振り向かれ、しかも品定めされるかのような目つきで見られる。
私はウタクへたどり着く前に足がすくんで動けなくなった。