狐に嫁入り!?
「ここが俺の屋敷であり、今度からお前が住むところだ」
大勢の善狐が住んでいる集落から離れたところにある屋敷の前で立ち止まりウタクが言った。
「こ……ここ?」
「そうだ。なんだ不満か?割とすごしやすいぞ」
「そ、そうじゃなくて。なんだか現実じゃないみたいで……」
ウタクが立ち止まった屋敷は本当に夢のような屋敷だった。
灰色の瓦屋根に白壁の造りをした平屋がいくつかあり、それぞれを繋ぐのが長い渡り廊下。
途中に池があったり、大きな松の木が植えられていたり。
平屋はどれも広々としているし……かけられている御簾(みす)も装飾が施されていて綺麗。
足を踏み入れると香の匂いが鼻をかすめる。
まるで源氏物語の世界にいるみたい。