狐に嫁入り!?
帰りたい。
落ちる涙と共に呟いた瞬間、私は走りだしていた。
私が投げ出すことを望んでいた皐月さんはもちろん止めることをしなかった。
「お母さん……ごめん……」
屋敷を飛び出して集落を抜けていると、私の存在に気付く善狐達もいた。
「あれ?ウタク様のとこの……!」
「ちょ、門を出ると危ないよ!森は行っちゃダメだよ!」
背後から温かい注意の声が聞こえた。
なんで集落に住んでる狐達は優しいのに……ウタクも皐月さんも血が通ってないみたいに意地悪なの!?
やりきれない気持ちのまま、温かな注意も聞かず私は門から飛び出した。