狐に嫁入り!?
人間界へ帰りたければ森へ行け、と皐月さんは言った。
ウタクはあやかしの世界へ着いてすぐ、あの森へ入れば妖狐がいて取って食われるぞ、と忠告した。
集落の善狐からも「妖狐がいて危ない」と注意を受けたことから、妖狐がいるのは本当で、人間界への道があるかどうかは怪しい。
それでも……これしか方法が浮かばなかった。
いつまでもあの屋敷にいたら、私は肉体的にも精神的にもボロボロになってしまう。
「どこに行けば人間界と繋がってるんだろ……」
森の中は足場も悪い。
ぬかるむ苔や横たわる木に足がふらつく。
辺りを見渡してみても、アニメや漫画で見るようなワープゾーンらしきものは見当たらない。