狐に嫁入り!?

愛情ではない恐怖で嫁に行く先を決めるなんてどうかしてる。


小さい頃描いていたお嫁さんとはかけ離れている現実に肩を落としていると、ウタクが私とナライの間に立ちはだかった。


「狸、しつこい男は好かれんぞ」

「冷たい男よりマシだと思うけど？つーかさ、まだ嫁になってないなら俺にだって口説く権利あるだろ？邪魔するなよ！」

「ふん。そんな権利、俺がお前に与えるわけないだろう」

「ウタクに与えられなくっても、俺だって狸の中じゃ一番上なんだぜ！？人間を……実雨ちゃんを嫁にする権利くらいあるわ！」



二人の間に火花が見える。


ヤマジは二人の後ろで「ぼ、坊ちゃま……！」と言いながらオロオロするばかり。


たぶん……今の状況って、女の子が美形男子に取り合われてて、誰もがうらやむ状況なんだよね。


……でも一切、嬉しいと思わないのはなんでだろう。