狐に嫁入り!?
自分に言い聞かせる心の声もウタクの耳に届いていたのか
「素直じゃない奴は損をするぞ」
と、からかうように笑われた。
損って……別に損得なんてないし。
私が何も言わずにいると、ウタクは御簾に手を掛けて出て行こうとする。
「あ……!」
「なんだ?」
「う、ううん……いってらっしゃい」
「……見送られるのも悪くないな。行ってくる」
ウタクはフッと軽く笑い廊下へ姿を消した。
するとすぐに皐月さんの声が聞こえてきた。
「ウタク様!今日はお休みになられるのでは……!?」
「休むにしてはまだ時間が早いだろう」
「しかし、もうご無理は……!実雨様というお力もあるというのに、何をそんなに必要としているのですか!」
皐月さんの切羽詰まったような声。
御簾で廊下は見えないけど……たぶん、ウタクに詰め寄ってるんだろう。