狐に嫁入り!?
そして改めてウタクと向き合う。
「諦めらんねぇんだよね、実雨ちゃんのこと。だから奪いにきた」
「ふん、そう容易くいくと思うなよ」
「上等。俺に期待はずれ、なんて言わせんなよ、ウタク」
「ほぉ……まずはそのよく動く口から塞いでやろうか?」
ウタクはそっと髪を結っていた紐を解き、ナライと探り合うように視線を交わしている。
……ちょっと、これは一気に戦闘モード!?
私はどうしたらいいの!?
アタフタしていると皐月さんが近くに寄って来た。
「どうやら狸がやって来た理由はあなたのようですね」
「えぇっと……」
「狸の嫁に行ったらどうですか?どうせウタク様の元から逃げ出したのだから……」
「……っ」
皐月さんの澄みきった静かな声が耳に痛い。
逃げ出したのは皐月さんのせいでもあるのに……!