狐に嫁入り!?


儀……っていうからには何か正式な手順があるんだろうな……。


いよいよ……って思うと、妙に体が固まってドキドキする。


「婚姻の儀って……どういうことするの?」

「教えてやろう」


口の端を上げて不敵に笑うウタクが雪洞に妖しく照らし出される。


ウタクは腰を上げると私の側へ寄った。



「え……?」

「こういうことだ」


トンッと右肩を押された。


固まっていた私の体は、いとも容易く後ろへ倒れ込んだ。



たぶんウタクは何かの術を使ったわけではない。


私の身体が、一点を押されれば見事にバランスを崩してしまうほど、カチコチの塊と化していただけなんだ。


……そして今も、自分がどうされるのか予想ができないほど硬直している。

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