狐に嫁入り!?


私の声が廊下に聞こえないのも術のせいかもしれない。


「ウタク!」


それでも叫ばずにはいられなかった。


……胸騒ぎがする。


廊下からは金属音がして、手から手に何か渡されているよう。

恐らくウタクが皐月さんに言っていた鍵だ。



「この鍵が?」


「はい。そちらの鍵が……代々善狐の神に伝わる鍵です。願いを叶えるために必要な神聖なる部屋の扉が開きます。

しかし……力ないものがその部屋で願いを叶えようとすると、己の体に大変負荷がかかります。

そして大神様の罰も下りますのでご注意ください」


「ふん、俺に忠告とは立派になったもんだな、皐月」



皐月さんは「出過ぎた真似を……」と謝っていたけど……もっとキツク注意してよ。


ウタクを……止めて!
< 314 / 515 >

この作品をシェア

pagetop