狐に嫁入り!?
私の声が廊下に聞こえないのも術のせいかもしれない。
「ウタク!」
それでも叫ばずにはいられなかった。
……胸騒ぎがする。
廊下からは金属音がして、手から手に何か渡されているよう。
恐らくウタクが皐月さんに言っていた鍵だ。
「この鍵が?」
「はい。そちらの鍵が……代々善狐の神に伝わる鍵です。願いを叶えるために必要な神聖なる部屋の扉が開きます。
しかし……力ないものがその部屋で願いを叶えようとすると、己の体に大変負荷がかかります。
そして大神様の罰も下りますのでご注意ください」
「ふん、俺に忠告とは立派になったもんだな、皐月」
皐月さんは「出過ぎた真似を……」と謝っていたけど……もっとキツク注意してよ。
ウタクを……止めて!