狐に嫁入り!?


「皐月、何があってもそこから一切こちらへ入ってくるな」

「……ウタク様?」


皐月さんが疑問を現したように聞いた。


「実雨についてはしばらく寝かせておけ」

「しばらく……とは?」


ウタク!

何度も言うけど、私はもう目覚めてるの!



伝わらない、悔しい気持ちが溢れる。



やがてウタクは皐月さんの質問には答えず、その場を去る足音を響かせて気配を消した。



「ウタク様……」



皐月さんはスッキリしない気持ちのまま、ウタクを見送ると私の見張りをするためか、その場へ座り込んだ。
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