狐に嫁入り!?
皐月さん!
私の見張りなんていいから……!
「皐月さん!早くウタクを追いかけて!」
襖一枚挟んだ向こうにいるのに……叩いても、叫んでも……届かない。
ウタク、こんな術かけて……何をしようとしているの!
「……っ」
襖を叩いてウタクの術にあたり過ぎたせいか、手が腫れあがり、血もにじんでいる。
「どうしたらいいの……?」
私が人間のままなら……ウタクは神である特殊な力なんて手に入ってないはず。
『力ない者がその部屋で願いを叶えようとすると己の体に大変負荷がかかります。
そして大神様の罰も下ります』
皐月さんの言葉が頭をよぎる。
私は全員から力が抜けて畳に座り込んだ。