狐に嫁入り!?


私が驚きと怒りを通り越して呆気にとられていると、皐月さんは言葉を続けた。


「ウタク様の望みは……貴方が人間界へ帰ることです」


皐月さんの言葉がうまく耳に入ってこない……。


「人間界にって……だって私、ウタクと結婚して……」

「結婚?ならば問います。貴方は昨夜、ウタク様と口付けを交わしましたか?」

「え……?」

「婚姻の書に名を記し、口付けを交わし合ったもののみ婚姻が認められる。正直問わなくても一目瞭然です。貴方は人間のままなのですから」


ウタクに冗談で組み敷かれたり、キスをされそうな雰囲気にはなったけど……唇は触れてなんかいない。

やっぱり私は……人間のままだったんだ。



「なら……今の爆発音って……ウタクの体が危ないんじゃないの!?」


「ウタク様はそれを承知で貴方の願いを叶えに行きました。私しか鍵を持たない部屋だからと……私に嘘までついて。

そしてこの日のことを考え……貴方をこちらの世界へ連れて来てからも、手を抜くことなく鍛えておられた……」



ウタク……全部、最初からこうするつもりだったの?

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