狐に嫁入り!?
……ウタク!
どこの部屋にウタクがいるかなんて検討つかないけど、それでも走りだそうとしたら、皐月さんに腕を掴まれた。
「どこへ行くんですか」
「ウタクを……ウタクを助けに!」
「もう一度言いますが、ウタク様は貴方を人間界へ帰ることを希望されています」
「そんなのわかんないよ!ウタクがキスのこと知らなかっただけかもしれないじゃない!」
「…………この愚鈍が」
皐月さんが激しい怒りを内に秘めた目で私を睨みつけてきた。
体が委縮して、動けなくなる。
「わざわざ、ウタク様は私が解くことのできるほどの術をかけ、一切こちらへ来るなと仰った。
ただし、この場から離れるな、とは仰られなかった……貴方は何故、ウタク様のお気持ちから目を逸らすのです!」
「……っ!」
皐月さんが腕をきつく握りしめてくる。
術のかかった襖を叩きすぎて既に傷を負っていた腕……そこに皐月さんの想いが加わって……
歯を食いしばっても耐えきれないほど痛い。