狐に嫁入り!?
でもきっと……皐月さんの心も破裂しそうに痛いはず。
なんせ……ずっと忌み嫌っていた私のためにウタクが傷付いているのだから。
すぐにでも駆け出したいはずなのに。
「来なさい。いくら頭の回転が遅くとも人並みに走ることはできるでしょう」
皐月さんがグッと私を引っ張る。
勢いがありすぎて半ば前のめりになりながら、私は皐月さんと共に無理矢理駆け出した。
「皐月さん!でもウタクが……!」
「…………」
私の引き返そうとする声に、無言のままでいる皐月さんの背中が苦しそうに見えて視線を逸らした。
しかし逸らした先では他の家来が慌ただしく走ったり、何か叫んだりしていた。
そして皆……ある方向を見ている。
「どうしたの?」
私もそちらへ目をやると、少し離れた端の部屋から灰色の煙が舞い上がっていて……
そこには……
「……ウタク!!」
ウタクが血だらけで倒れていた。