狐に嫁入り!?
私の驚きに皐月さんも嫌なものを感じたのか、足を止めて私を下ろし、ウタクの方を確認する。
「……あれは……大神様の術……!」
「大神様?」
確か……善狐のみならず、全ての精霊を束ねる神様だって聞いた。
精霊を束ね、掟を作り、罰を下す……。
「……もしかして、ウタクが特殊な力を持ってないのに、願いを叶えようとしてくれたから?」
「…………」
皐月さんは無言だった。
でも、その無言は肯定の意味だと雰囲気でわかる。
「罰が下るの!?」
思わず皐月さんの胸倉を掴んで詰め寄る。
「……行きましょう」
呟いた皐月さんは、本当は今にも全てを吐き出してしまいたいような、苦しい顔をしていた。