狐に嫁入り!?


異質な雰囲気。


ウタクとも……ナライとも違う。

森で出会った妖狐にもどこか似ているようで、でももっと高貴で……。


「大神様は……全ての精霊、妖怪の血が混ざっています。

大神様が掟で取りまとめているのは理解力がある精霊のみですが、いくら非道な妖怪も大神様には手を出しません」


誰よりも特別で尊い存在。

ただ目が合っただけだというのに、ウタクや皐月さんのように感情的な冷たさではない、血が通っていないような冷徹さを感じる。


遠く離れていくウタクと大神様。

大神様は呆れたような表情で、ウタクを包んだ布を乱暴に蹴ってから持ち上げた。

それは同時に、何もできずウタクに助けられてばかりの私を嘲笑うかのよう。


「……っ」


悔しい。


悔しいけど……私は今、皐月さんの腕から逃げ出すこともできないほど無力。


ウタクが連れ去られているというのに……何もできないなんて……。
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