狐に嫁入り!?
私を抱えたまま、皐月さんは善狐の集落を抜けていく。
「あれ?あの子はウタク様の……」
「抱えているのは側近の皐月様じゃないか?」
皆が家から出てきて、足早に抜けていく皐月さんを驚いた表情で見ていた。
……そうだ。
この人達に皐月さんを止めてもらえば……。
「み、皆!助けて!皐月さんを止めて!」
私の声に、皆が「何だ?どういうことだ?」とどよめきだす。
「ウタクが大変なの!ウタクを助けるために……皐月さんを……!」
って言っている間にも皐月さんは進むし、皆は困惑している様子で皐月さんを止める気配もない。
ついに集落の出口までたどり着いてしまった。