狐に嫁入り!?


皐月さんはそこで足を止め、クルリと振り返り、背を向けていた集落の善狐達に向き直った。



「これより先、私達に近寄るべからず」



皐月さんの声が……水面を揺らして静かに波紋を作る。


「……近づけば?」


勇気ある善狐が唾を飲み込んでから意を決したように尋ねた。


「……即刻処分を。ここでのうのうと暮らせると思うな」


皐月さんのひやりとする視線に、善狐は震えあがって固まる。


「み、皆!ウタクが……ウタクが危ないんだよ!?」


集落とは反対に向いていた体を必死に、皐月さんの肩の上で起こし、横目ながらに皆の目を見ながら説得する。


皆が「危ないって?」と、それぞれに心配を口にしだした……。

もしかしたら、皆を……って思ったのに。



「この者を信じるべからず。この娘は裏切り者だ。ウタク様を騙した」



さ……皐月さん!?

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