狐に嫁入り!?


本当ならこの木漏れ日を美しく味わえるのに……どうしてこんなにも不安な気持ちで味わなくちゃならないのか。


「皐月さん……ここは?」


身なりを整えながら皐月さんに尋ねる。



「人間界へと通じる場所です」

「なら本当にこの森から人間界へ帰れるの?」

「えぇ、術が必要ですが」


……なら、私一人で抜け出した時は帰ることができなかったんだ。

やっぱり私は皐月さんに騙されていた。


「ウタク様もここを通じてあやかし界と人間界を往来してました。ただウタク様は私と比べ物にならないくらの力を持っていますから、もっとスムーズです」


ウタクに連れてこられた時は、気がつくと集落の真前にいた。

この森は妖狐もいて危ないから、術で素早く私をここまで運んで来たのかもしれない。


そんなことを思っていると、皐月さんは術を唱え始めた。
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